日本軍「慰安婦」問題

戦後補償問題のうち、近年、劇的な変化が見られたことと言えば、「慰安婦」問題をまず第一にあげるべきでしょう。1991年の金学順(キム・ハクスン)さんの韓国国内で初めて「私は『慰安婦』にさせられていた」という衝撃的な告白に始まり、次々と元「慰安婦」の女性たちが名乗りをあげるようになりました。
 「慰安婦」問題が示しているのは、日本軍の非人間性だけではありません。それは、私たち日本人の戦後の無責任体制、根強い女性蔑視、アジア蔑視などを白日のもとに晒し、戦後補償問題を一気に「目に見える・血の通った・現在の」問題に変えてしまいました。
私たちの資料館でも、「慰安婦」問題は展示していましたが、当初は「戦後補償コ−ナ−」の一角でした。しかし、その後、姜徳景(カン・ドッキョン)さん、金順徳(キム・スンドク)さんのお二人の元「慰安婦」にされていた女性と、韓国挺身隊問題対策協議会の金信實(キム・シンシル)さんの計3人が資料館へお泊りになったことをきっかけとして、挺対協との連携を深め、この問題の重要さに改めて気付かされ、独立した一つのコ−ナ−として展示するよう、全面的に展示の変更をした経緯があります。
またここには、漫画家石坂啓さんの「慰安婦」問題を描いた傑作、「突撃一番」がA3版に拡大され、自由に読むこともできるようになっています。
姑息で犯罪的と言いうる日本政府の打ちだした「国民基金」策に対する批判、国連の場においてこの問題がどのように取り上げられているか、など現代の問題として考えていただきたいコ−ナ−です。